住宅ローンのプロに「借り換え」を本気で相談してみた

住宅ローン 借り換え 相談 プロ
(写真=Pra Chid/Shutterstock)

住宅ローンのプロに相談してみたシリーズ(総集編)

日本には1,200万人の住宅ローンユーザーがいるとされており、実はここ数年の超低金利状況のため、2017年4月現在に住宅ローンの借り換えをすると、100万円以上の借り換えメリットが出る人は600万人との試算結果もあるようです。そこで、自分にベストな金融機関での住宅ローンの借り換えを成功させるために、住宅ローンユーザーに中立な立場である住宅ローンのプロに本気で相談をしてみました。ここではその相談した中でプロに教えてもらえた内容を紹介致します。

【目次】
1. なぜ日本人は住宅ローンを借り換えないのか
2. 比較サイトを利用するときの注意ポイント
3. ネット銀行での借り換えメリット・デメリット
4. 住宅ローンで審査落ちしてもあきらめないで!まだ「信金」がある
5. 住宅ローンの面倒な借り換え手続きは改善方向に
6. 住宅ローンとフィンテックの融合
7. まとめ

1. なぜ日本人は住宅ローンを借り換えないのか

そもそも日本人は住宅ローンの借り換えをしようとすることに積極的な人は少ないのが現状です。その理由を借り換えの盛んな米国を比較対象としながら紐解いていきましょう。

2017年4月、労働指標が堅調に推移する米国では、2017年中に米連邦準備制度理事会(FRB)が何回利上げに踏み切るかに市場の注目が集まっています。一方、日本ではマイナス金利政策が続いた状態です。こうした中央銀行の金融政策に敏感にならざるをえない人たちがいます。なぜなら人生で最大の買い物とされるマイホームのローン金利に少なからず影響を及ぼすからでしょう。

金融政策によって金利が変動する時は、住宅ローンの借り換えも頭をよぎりますが、日本では借り換えに対し慎重もしくは気にも留めていない姿勢に始終している感が否めせん。一方、米国ではリファイナンスと呼ばれる住宅ローンの借り換えが広く浸透しています。日米の住宅ローン借り換えの違いはどのように生じているのでしょうか。まずは米国の金融の歴史からそれを紐解いていきましょう。 

米国証券化市場で存在感を増した政府支援機関 

1980年代の米国では地域密着型の金融機関であるS&L(Saving and Loan Association)の相次ぐ破たんを受けて、住宅ローンの証券化が進められることになりましたが、そのうえで大きな役割を果たしたのが政府支援機関でした。また、証券化により、金融機関の抱えるリスクが軽減され、住宅ローンの借り換えが積極的に推進される米国とは対照的に、日本の金融機関を中心とした住宅ローンを取り巻く環境は大きく異なります。 

住宅ローンの証券化で大きな役割を果たしたのがファニーメイとフレディマックでした。前者は、1938年に住宅ローン買い取りを目的に連邦住宅抵当公庫として発足しました。後者は、そのファニーメイを補完するために、1970年に設立された連邦住宅抵当貸付公社で、政府支援企業(GSE)として、民間の金融機関から住宅ローン債権を直接買い取り、住宅ローン市場に資金を供給してきました。しかし、サブプライム問題に端を発した住宅バブル崩壊で経営危機に陥り、いまだに両社は公的管理下に置かれています。 

米連邦準備理事会(FRB)によると、米国の住宅ローン残高は約10兆ドル(2015年)です。このうち3分の2ほどが証券化されているといわれ、ファニーメイやフレディマックなどのGSEが、住宅ローン市場で果たしている役割がいかに大きいかということがわかるでしょう。 

一方、住宅金融支援機構によると、日本の住宅ローン残高は186兆円(2015年度末)で、住宅ローンの証券化を実施した金融機関は3.0%(2015年度)にとどまります。さらに、73.8%の金融機関が証券化の検討も必要性もないと回答しているのが現状です。証券化の目的として、金利リスクの回避・軽減が最も多い意見でしたが、実際の証券化に向けては、ノウハウの不足が最大の課題として浮かび上がっているようです。 

金融機関からの借り換え促進は期待できず 

住宅ローンの証券化が進まない日本では、依然として金融機関がさまざまなリスクを抱えることになります。例えば、金利が下がっている局面では、金利の低い住宅ローンへの借り換えを検討するケースも多いでしょう。住宅ローンを抱える人にとっては賢明な選択ですが、金融機関からすると、期限前に住宅ローンの返済が終わってしまうと、将来に渡って得られるはずの金利収入が減少するデメリットがあります。 

さらに、金利が低下する状況では、返済された資金をより有利な条件で運用するのは困難です。このため、金融機関は住宅ローンの借り換えによって、想定外のキャッシュフローが経営に影響を及ぼすリスクを警戒します。この点が米国とは異なり、金融機関が積極的に住宅ローンの借り換えを促進できないもっとも大きな理由といえます。 

住宅ローン借り換えは債務者の金融リテラシー頼み? 

金融機関からの住宅ローン借り換えの積極的な取り組みが展開されない日本では、住宅ローンを抱える人が、自ら行動を起こすことが必要となるでしょう。しかし、住宅金融支援機構によると、住宅ローンの新規貸出額に占める借り換えの割合は、23.4%(2015年度)にとどまっています。それでは、住宅ローンの借り換えを阻むものは何でしょうか。 

SBIモーゲージとオールアバウトが首都圏を対象に住宅ローン借り換えに関する調査(2014年)をしたところ、「借り換えする理由が特にない」「手数料がかかる」「手続きが面倒」といった意見が多数を占めました。一方、住宅ローンの借り換え経験者を対象にしたエコンテの調査では、「借り換えにより得をした」が46.3%、「どちらかといえば得をした」が47.0%と9割以上が借り換えで経済的な負担の軽減に成功しているデータが浮かび上がりました。 

2016年に日銀がマイナス金利政策を導入してから、住宅ローン金利は史上最低の水準で推移しています。住宅ローン借り換えで、毎月の返済額が減ったり、返済期限が短縮されたりする可能性がますます高まっていることは事実です。 

住宅ローンの証券化が進み、金融機関が積極的に借り換えを促進するアメリカとは異なり、特にネット銀行を除く金融機関が借り換え促進に消極的な日本の現状では、住宅ローンを抱える人が、自ら一歩を踏み出すことが低金利時代のメリットを享受できるかどうかの鍵となりそうです。まずはどんなことでもよいので初めの一歩を踏み出し、自らの金融リテラシーを少しずつ高めていこうではありませんか。 

2. 比較サイトを利用するときの注意ポイント

GoogleやYahoo!において「住宅ローン 借り換え」と検索すると上位に多く表示される「比較サイト」は、借り換え検討者にとっては簡単に商品比較ができ、非常に便利なものかもしれません。しかし、比較サイトを利用するうえで、実は注意したいポイントがいくつかあります。

そもそも住宅ローンの借り換えをなぜ行いたいのか?

そもそも住宅ローンの借り換えを検討しようと思った人は、なぜ自分が借り換えしようとしているのかを今一度じっくり考えてみましょう。金利が高いから、借り入れ期間がまだ長く続くから、少しでも毎月の負担を減らしたいから、たまたま比較サイトを見てよさそうだからなど、さまざまな理由が挙げられるのではないでしょうか。

この時に、まず「本当に負担が減るのか」という観点でチェックすることが最も重要です。借り換え検討者がよく使う比較サイトには、適用金利が低い順などで銀行ランキングが紹介されていることが多いです。しかし、これには注意したい点があるのも事実です。

3つのポイントをしっかり確認しよう

比較サイトを利用する前に、まず3つのポイントを知っておきましょう。それは「金利」、「条件付き」、「諸費用」という観点です。

比較サイトでは、現在の最低金利を前面に押し出していることが多いために、どうしても金利だけに目がいきがちです。しかしながら、そこに記載されている金利が必ずしも全員に適用されるわけではありません。つまり、審査に通ったとしても、条件によっては適用される金利が比較サイトのものよりも高くなってしまうなどのケースがあります。

また、10年固定金利(表示は固定金利)などのランキングでよくみられるのが、固定金利終了後の割引幅が大きく異なるにもかかわらず、現時点での適用金利のみに焦点があてられてしまっていることです。例えば、10年後の割引幅が当初0.5%→1.75%の銀行が上位で、当初0.6%→0.75%の銀行が下位と、総返済額の少ない方が下位になってしまっていることが実際にあります。つまり、当初の金利で順位付けされているだけで、ユーザー目線にはなっていないということです。

こうした点を事前に把握しておかなければ、実際申し込み手続きを行い審査が下りたとしても、フタを開けてみたら他社で借りたほうがよかった、といった事例を生み出しかねません。最低金利と最高金利に幅のあるケースや固定期間終了後の割引幅が考慮されていないケースでは、借り換えのためにかけた時間や労力に対して、まったく割に合わなかった、ということも十分にありえるのです。

条件付きで金利が低くなるケースも同様です。条件を満たしていなければあまり優遇されない、ということも起こりえます。こうした条件を自身でしっかりと把握しておかなければいけません。

もう一点、諸費用をしっかりと把握することです。銀行によって諸費用が大きく異なるにもかかわらず、比較サイトではそれが反映されず、金利だけが順位付けに採用されてしまっています。金利は低いものの、費用が高く、結果あまりメリットがなく手間がかかっただけというケースがあります。そのため、事務取扱手数料など借り換え時の諸費用がどのぐらいかかるのかをしっかりと確認してから審査に申し込む必要があります。

また、借り換え後に繰り上げ返済でさらに返済額を圧縮する可能性のある方は、当初の借り換え時には繰り上げ返済のことまでを気にしている人は少ないと考えられます。そして、一旦負担が減ってよかったと思いきや、その後いざ繰り上げ返済を行おうとすると、条件等があり思うように進まないということもありえます。このような、後のことも考えた借り換えを検討する必要があります。

一番の借り換えメリットを享受できる方法は?

比較サイトは、誰にでもわかりやすく非常に便利であるといえます。実際に多くの人に使われ続けていることがその証明でしょう。しかし、上記のような注意したいポイントがあるのも事実であり、それらのポイントに気をつけながら自身で借り換えを行える人は、比較サイトをうまく活用すべきかもしれません。

しかし、多くの人は住宅ローンの知識があるわけではなく、使える時間が限られています。そんななかで、自分にあったベストな借り換えを成功させることができるのでしょうか。おそらく、ネット上の情報を参考にして自身で借り換えてみた結果、失敗してしまった人も多いことでしょう。

少しでも不安に思った方は、情報収集は比較サイトでできたとしても、実際に借り換えを行う際には住宅ローン専門のプロに相談し、プロとともに審査を進めていくほうが無難といえます。相談することで、その後のアフターフォローも含めて、現状からみてその人にあわせた最適な借り換え先へ導いてくれることでしょう。

3. ネット銀行での借り換えメリット・デメリット

住宅ローンの借り換えを検討するときに、真っ先にあがってくるのがネット銀行ではないでしょうか。ネット銀行は店舗を持つ銀行などと比べて金利が低い傾向があり、比較サイトなどではランキングの上位に紹介されていることもあります。

実際に借り換えを検討している人の多くは、まずGoogleやYahoo!を利用して借り換え先を検索するのではないでしょうか。その中で「ネット銀行は金利が低くてよさそうだ」と感じる方も多いでしょう。しかし、ネット銀行での借り換えは誰にとってもメリットがあるといえるのでしょうか。ここでは、ネット銀行のメリット・デメリットを解説していきます。

ネット銀行の審査は厳しい

ネット銀行は比較的低金利であり、手続き上もペーパーレスが進んでいて簡易となっていることなどが、メリットとして考えられます。しかし、その一方で審査が厳しいといった側面もあります。

そもそもネット銀行の住宅ローン金利が低く設定されている理由として、店舗をもたないためその分の店舗設置・維持費用や人件費などの運営コストを抑えられていることが挙げられます。またそれだけでなく、申込み人の属性などにボーダーを設け審査をしやすくすることによって、余分な運営コストをかけないようにしています。

つまり、比較サイトなどで紹介されていても、そもそも審査すらしてもらえない可能性があるのです。公表されているわけではありませんが、そのボーダーラインは年収400万円以上、かつ上場企業などの好属性企業のサラリーマン(中小企業オーナーや自営業者を除く)ではないかともいわれています。

それだけでなく、借地上の建物の場合は、その時点で審査ができないと明示しているネット銀行もあり、店舗を持つ銀行などと比べて融通が利きにくいといえるでしょう。

ネット銀行はこわくない

もちろん、ネット銀行は好属性の人からすると非常に魅力的です。ネット銀行の良さは、なんといっても「低金利」であることでしょう。しかし、普段からネット銀行を利用していない人にとっては、ネット銀行は新興の金融機関であり、店舗がないため直接存在を確認することもできないので、本当に大丈夫なの?と心配されるかもしれません。

当然のことながら、ネット銀行も店舗を持つ銀行同様に定められた法律の中において国の認可をとったうえで運営されています。また、そもそも住宅ローン商品の場合は、お金を預けるのではなく「借りる」ため、ネット銀行に不慮の事態が起こった場合でも借りることについては何か大きな損害を受けるような可能性は低いといえるでしょう。

また、サポート対応は代理店経由の面前契約のケースを除くと基本的に電話やメールなどになるのは、ネット銀行のデメリットかもしれません。対面でのサポートがない点に不安を持つ人もいるかもしれませんが、実際にはかなり丁寧に対応してくれるネット銀行もあり、顧客満足度ランキングにおいてサポート対応への高い評価を受けているところもあります。

自分にネット銀行が合いそうなら是非とも検討を

ネット銀行は店舗を持つ銀行などと比べて、直接面前で説明を受けたりアフターフォローをしてもらったりすることができず、また審査が厳しいこともあります。しかし、その分電話対応に力を入れていたり、手続き負担軽減のためペーパーレスを進めていたりと、審査に通りやすい人にとっては低い金利で借りることができるというメリットがあることも確かでしょう。

審査基準を満たす人や電話やメールでのサポート対応に抵抗がない人は、一度ネット銀行での借り換えを検討してみてはいかがでしょうか。また、もし少しでも不安を感じる方は、住宅ローンのプロに相談してみることをおすすめします。ネット銀行が良いか、他の金融機関での借り換えが良いか、最適な提案をしてくれることでしょう。

4. 住宅ローンで審査落ちしてもあきらめないで!まだ「信金」がある

みなさんは「信用金庫」にどのような印象をお持ちでしょうか。地元企業への融資や創業支援をしている、というイメージがある人も多いと思いますが、もちろん私たち個人の住宅ローンも取り扱っています。あまり知られていませんが、意外にも検討に値する信用金庫の住宅ローンについてご紹介していきます。

信用金庫と銀行の違いは

信用金庫は銀行と同じように預金や積立を行えますが、仕組みに大きな違いがあります。銀行は株式会社であり、株主のために利益を追求する組織です。しかし、信用金庫は地域住人や地元企業の相互扶助を趣旨としています。そのため、信用金庫は地元から他の地域へ進出することはなく、利益は地域発展や地域の活性化へも活かされています。

信用金庫の強みは

組織の仕組みが銀行とは大きく違うことが分かりました。では住宅ローン商品としてはどうなのでしょうか。メリットやデメリットを検証してましょう。

【金利】
信用金庫ごとに金利は異なり一概にはいえませんが、大手銀行であるみずほ銀行の最低レートと同じ、変動金利0.625%(※2017年3月10日時点)というレートを採用している信用金庫もあります。個別に判断する必要はありますが、少なくとも「信用金庫の金利は高いわけではない」ということがいえるでしょう。

【審査面のメリット】
まず、大手銀行やネット銀行では審査がテンプレート化されているともいわれており、サラリーマンや公務員といった属性や年収・年齢などの条件により、マニュアル的に審査を行う傾向があるのです。マニュアル的な審査方法は効率的でコスト削減につながるかもしれません。しかし、中小企業のオーナーや自営業のなど型にはめることが難しいケースでは審査がしづらく通りにくくなってしまいます。その点、個々の案件を個別に判断する信用金庫では、上記のような事例でもしっかりと審査してもらえる可能性が高いです。つまり、信用金庫は審査にかなり融通が利くということがいえます。

【信用金庫のデメリット】
金利面でも勝負できる余地があり、審査面でもメリットがある信用金庫ですが、デメリットも知ってくことが必要です。まず先ほどふれましたが、信用金庫は地域の方が対象であり、顧客が来店したり営業員が訪問したりすることが基本スタイルですので、厳密な審査の必要な住宅ローンはインターネットでの申し込みを対応しているところはかなり少ないのが現状です。また、ネット銀行や店舗をもつ銀行と違って、借り入れ後の繰上返済についても店舗に行く必要があり、かつその手数料が必要になることも知っておくべきでしょう。

信用金庫の住宅ローンが向いている人とは

信用金庫での借り入れや借り換えが向いているのは、どのような人なのでしょうか。その信用金庫の対象地域と縁が深い人、かつ個別に借り入れ・借り換えを行いたい人といえます。具体的には、以下のような人です。

・元々対象地域に暮らしていた、もしくは今現在暮らしており、同じ地域でマイホームを購入する人
・昔から親類等が信用金庫で口座を保有しており、誰かの家に営業員が定期的に訪問している人
・対象地域で自営業ならびに会社を経営している人
・将来、住宅ローン以外(事業性等)での借り入れを検討している人

意外と知られていませんが、これまでご紹介したように信用金庫には多くの魅力があります。ただ、中には「やっぱりメガバンクの方が」「便利なネット銀行の方が」という人もいるでしょう。すべての人に向くわけではありませんが、信用金庫に大きなメリットがあるのも事実です。もし興味を持っていただけたのであれば、是非とも一度地元の信用金庫をチェックしてみましょう。

5. 住宅ローンの面倒な借り換え手続きは改善方向に

住宅ローンの借り換えには、多くの書類を用意する必要があります。インターネットがこれだけ発達している時代にもかかわらず、ペーパーレスが進んでいないのが現状です。最初の住宅ローン契約時にその大変さを経験している分、「またあの書類を用意するのか……」と考えると、借り換えそのものに消極的になってしまう方もいるかもしれません。では、手続きの煩雑さやその理由について考えてみましょう。

手続きにはどんな書類が必要なのか

もしかしたら「借り換えなんだから当初の借り入れ時よりは必要書類は少ないだろう」と考える人もいるのではないでしょうか。しかし、借り換えは、借り換え先からすれば新たな借り入れとなります。当然、新規借り入れと同じ書類が必要になるのです。当初借り入れ時の必要書類のことなんて忘れてしまった、という人のために、主な書類を紹介します。

【借り換えに必要な書類の一般例】
・銀行が用意してくれる書類:住宅ローン申込書、団体信用生命保険申込書兼告知書
・本人確認書類:運転免許証や健康保険証、住民票、印鑑証明書など
・所得に関する書類:源泉徴収票や住民税の決定通知書、課税証明書など
・不動産に関する書類:地図や戸籍謄本、測量図など
・従前の住宅ローンに関する書類:今までの返済履歴(直近6ヵ月~1年程度)や、残高証明書。さらに今後の返済予定表など

多くの書類は役所や法務局へおもむく必要があるため、交通費がかかることや、場合によっては有給休暇を取得することになるかもしれません。なお、借り換え時に特に重要なのは「従前の住宅ローンに関する書類」の最近の返済履歴です。これは実際に返済に利用している通帳をコピーして証明します。必要な作業は記帳とコピーくらいなので、取得の手間は少ないですが、人によって通帳を提出するのは心理的な抵抗感があるかもしれません。

しかし、借り換えでは今までの返済履歴があなたの信用度を上げる大きな武器になります。借り換えを成功させるために、しっかり用意したい書類です。

住宅ローンの借り換え手続きがアナログな理由

ペーパーレスなデジタル化時代の現代において紙ベースの手続きが続いている理由として、以下の2つが想定されます。

【想定理由1】
住宅ローンでは、新規顧客の多くは住宅の販売先である不動産業者から紹介されているようです。紹介先である不動産業界は、未だ手続きがアナログです。そのような不動産業者がイニシアティブ(主導権)を持っているために、デジタル化が進みにくいという側面が考えられます。

ただ、不動産取引は大きな買い物であるため、買い手は実物を見ることを重視しますし、契約の際も対面で説明をして欲しいという欲求が強いです。現実問題としても、重要事項説明は対面が義務付けられており、テレビ電話や郵送で省略することはできません。そのため不動産取引においては紙ベースで行う必然性もあり、不動産取引とリンクしている住宅ローンについてもデジタル化を進めることは簡単でないのかもしれません。

【想定理由2】
住宅ローン商品を取り扱う金融機関側も、現状維持や、新しいことを導入するのに時間がかかるという傾向が見られます。お金を扱うだけに慎重な体質の業界ともいえますが、結果的に利用者の利便性の向上が早く進んでいないことは今後の課題といえます。

今後の借り換え手続きの展望は

不動産業界や金融機関においてデジタル化の動きが進まない状態が続けば、住宅ローンの借り換えはハードルが高いままとなるでしょう。しかし、よい兆しも出始めています。国土交通省は2015年から不動産ネット取引の実験を試み始めており、銀行業務でも一部の申込書類の簡易化を進めているようです。

また、金融機関全体としてはまだシェアはそれほど大きくないですが、新興であるネット銀行はかなりデジタル化が進んでいます。これらの流れが加速し、借り換え手続きがより消費者目線で行われ、その「面倒臭さ」が解消されることを期待したいものです。

住宅ローンの借り換えは、資産運用をするように手軽にできるものではないかもしれません。しかし、実行することで、住宅ローンの毎月返済額および返済総額が減るなどの明確な効果があり、手間をかける価値は大いにあるといえます。自分の借り換えによる効果をしっかりと見極め、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

6. 住宅ローンとフィンテックの融合

“住宅ローン”は、銀行などの金融機関が主力とする個人向けの商品の一つです。日銀の大規模な金融緩和政策によって“超低金利”状態である今、住宅ローンの借り入れ・借り換えにはチャンスであるといわれています。

特に、日銀が2016年2月に始めたマイナス金利政策によって、銀行への住宅ローン借り換えの相談件数が例年の2倍以上になっているともいわれています。

借り入れ・借り換えのいい検討タイミングといえる現在において、金融業界では金融×テクノロジーの造語である「フィンテック」が盛んに取り立たされています。ここでは、ユーザーにとって現在タイミングがいいとされる住宅ローンとフィンテックとの相性について考えていきましょう。

住宅ローンは単なる金融商品といえるのか

まず、“金融商品”と聞くと、銀行や証券会社などで取り扱っている商品を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。基本的に金融商品と呼ばれる多くのものは、自分の持っている金融資産を増やすことを目的とした預貯金(※)や、資産運用として購入される株式・債券・投資信託、一定の条件下において金銭的な保障が得られる保険などになります。(※2017年4月現在はほぼゼロ金利)

しかし、それらとは全く違った性質の金融商品があります。それは、「住宅ローン」などの負債(借金)に分類されるものです。要するに、資産を預けるのではなく借りるのです。つまり、住宅ローンは“単なる金融商品ではない”ということです。

住宅ローンは、自分が現状持っている金額以上のもの(住宅)を購入するために、お金を借りるというレバレッジ効果を利用することを主な目的としています。そのために、貸す側である金融機関は、リスクを軽減するために主に二つのことを行います。

一つは、住宅(=不動産)を担保に入れることです。もし住宅ローンの毎月の返済が滞る場合、住宅自体を差し押さえて、その後売却します。

もう一つは、借り入れ人の信用度、つまり「この人はきちんと計画通りに返済することができるのか?」という審査です。その審査において、信用情報の履歴が重要となります。これは「クレジットヒストリー」とも呼ばれており、例えば米国などでは自身のクレジットヒストリーに基づいた「クレジットスコア」という個人の信用度が数値化されたものが明確にあります。それによって個人の支払い能力が格付けされているのです。

しかし、そもそも日本にはクレジットスコアという概念自体がなく、各個人に対する審査基準・内容についてはブラックボックスとなってしまっています。そのため、クレジットカードやカードローン、そして住宅ローンなど一つひとつに申し込み、審査を受けてみないと結果がどうなるかわからないという、非常にユーザーにとって不便な状況にあるのが実情です。

そもそもフィンテックとは

フィンテック(FinTech)という言葉は、金融(Finance=ファイナンス)と技術(Technology=テクノロジー)とを掛け合わせた造語です。日本では2012年以降から金融業界を中心に広く使われ始め、2017年現在では徐々に一般的な言葉として浸透しつつあります。

ここではフィンテックを「金融とITの融合によって生まれた新しいサービス」と定義します。具体的には、スタートアップ企業から大手金融機関、大手通信事業会社といった非金融企業が、さまざまな技術を駆使した新しい金融サービスへ参入し始めています。(例:みずほFGとソフトバンクGでのAIによる個人融資のジョイントベンチャー設立など)

フィンテックの分野は大きく2つに分けられます。管理当局による規制分野として「融資」「決済」「送金」「投資」、非規制分野として「情報管理」「業務支援」などです。最近では「仮想通貨・暗号通貨」も新技術の下に広がりつつあり、後追いで法整備が進められているような状態です。

住宅ローンとフィンテックとの相性は

では、飛躍的に利便性が向上しつつあるフィンテックサービスの中に、単なる金融商品ではないといえる住宅ローンに関するものが、今後日本で広がるのか?という問いへの答えは、

「その可能性はとても高い」といえます。

例えば、新興勢力である「ネット銀行」は、ユーザー視点でペーパーレスや来店不要を前面に打ち出しながら顧客獲得を着実に進めています。また、非金融機関のスタートアップ企業による独自のクレジットスコア算出などがサービスとして提供され始めており、徐々にその拡大の素地ができつつあるといえます。

今後日本で住宅ローンに関するフィンテックサービスが広がる可能性の高い最も大きな理由としていえることは、融資を受けるために審査が必要である住宅ローンは、基本的に事業性融資とは違って面談が必須ではないことが挙げられます。

例えば、申し込み・審査・契約・融資までのすべての流れにおいて、手続きすべてをペーパーレスにし、審査に必要な信用情報の非ブラックボックス化やAI(人工知能)による精査・効率化に進化できることで、手続きの煩雑さが大幅に解消され、かつ申し込みから融資までの時間が大幅に短縮されます。住宅ローンの借り入れだけでなく、借り換えもしやすくなるでしょう。

結論として、“面談”というユーザーと金融機関が会うアナログな行動が必要ないことから、住宅ローンとフィンテックとの相性は、悪いはずがなく、お互いの融合は十分可能といえます。今後は、日本の住宅ローンのフィンテック化によるユーザーの利便性向上と、住宅ローン市場自体のさらなる拡大に期待することができるといえるのではないでしょうか。

7. まとめ

日本人が住宅ローンの借り換えをしない理由
住宅ローンの証券化が進んでいないため、リスクをとっている貸し手の金融機関が積極的な借り換えを促しにくい状況であり、かつ住宅ローンユーザー自体のリテラシーの低さや面倒そうな手続きへの消極的姿勢が要因。

比較サイトを利用するときの注意ポイント
比較サイトで知ることのできる情報は一番よい条件にスポットライトが当てられているケースが多く、人それぞれによって条件は異なる。特に「金利」「条件付き」「諸費用」の3つのポイントを詳しく確認してから審査に申し込むべき。

ネット銀行での借り換えのメリット・デメリット
コスト削減の観点からもネット銀行では基本的に好属性のユーザーに対象を絞っているため、融通が利かず審査は厳しめである。しかし、低金利であることが最大のメリットであり、サポート体制も万全であるから安心。

大手銀行で審査落ちしても信金がある
意外と知られていない信金は、手続きなどがアナログではあるが、大手銀行に負けない低金利と地域密着の安心感が売りであり、審査にかなり融通が効くので自営業や中小企業経営者も可能性あり。

住宅ローンの面倒な借り換え手続きは改善方向に
住宅を販売する不動産業界や貸し手の金融業界双方が新しいものを取り入れたがらない体質から、未だユーザー目線ではないアナログな手続きを続けているのが現状だが、新興のネット銀行やスタートアップ企業などによって手続きのデジタル化が進みつつある。

住宅ローンとフィンテックの融合
金融とITの掛け合わせであるフィンテックサービスは、審査にて面談の必要がない住宅ローンとは相性が悪いはずはなく、今後はお互いの融合が進むことによって、ユーザーの利便性向上や住宅ローン市場全体の拡大の可能性がある。

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【プロに相談してみた】シリーズ
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なぜ日本人は住宅ローンを借り換えないのか 前編
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